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名古屋地方裁判所 平成3年(わ)397号 判決

本店所在地

愛知県西春日井郡西枇杷島町宮前町二丁目二二番地

錦自動車株式会社

(右代表者代表取締役 西原茂雄こと李茂雄)

国籍

朝鮮(慶尚北道達城郡月背面大泉洞)

住居

愛知県春日井郡西枇杷島町宮前町二丁目二四番地

会社役員

西原茂雄こと李茂雄

一九四九年三月二一日生

主文

被告人錦自動車株式会社を罰金五〇〇〇万円に、被告人李茂雄を懲役二年にそれぞれ処する。

被告人李茂雄に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人錦自動車株式会社(以下「被告会社」という。)、は肩書地に本店を置き、自動車販売等を目的とする資本金三〇〇万円の株式会社であり、被告人西原茂雄こと李茂雄(以下「被告人」という。)は、被告会社の代表取締役としての業務全般を統括している者であるが、被告人は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、仕入金額を過大に計上し、期末商品棚卸資産を過少に計上するなどの方法により、所得の一部を秘匿した上、

第一  昭和六二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が、一億三三六六万五五三六円であり、これに対する法人税額が五五一五万二四〇〇円であるのに、昭和六三年二月二十九日、名古屋市西区押切二丁目七番二一号所在の所轄名古屋西税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一五七一万〇七八七円であり、これに対する法人税額が五六一万一三〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、正規の法人税額との差額四九五四万一一〇〇円を免れ、

第二  昭和六三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が、一億九三七九万五一九五円であり、これに対する法人税額が八〇四一万九九〇〇円であるのに、平成元年二月二八日、前記名古屋西税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二五四八万〇〇〇二円であり、これに対する法人税額が九七二万七六〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、正規の法人税額との差額七〇六九万二三〇〇円を免れ、

第三  昭和六四年一月一日から平成元年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が、二億〇二九七万二五八一円であり、これに対する法人税額が八四二五万三四〇〇円であるのに、平成二年二月二八日、前記名古屋西税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三五〇六万〇一一〇円であり、これに対する法人税額が一三七三万〇四〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、正規の法人税額との差額七〇五二万三〇〇〇円を免れ、

もって、いずれも不正の行為により、被告会社の法人税を免れたものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人作成の上申書

一  西原君子こと鄭君子の検察官に対する供述調書

一  呉永重の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書七通及び証明書(検察官証拠請求番号甲15)

一  登記官作成の登記簿謄本

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の証明書(甲2)

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の証明書(甲3)

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の証明書(甲4)

(法令の適用)

一  罰条及び刑の選択(判示各所為)

被告会社 法人税法一六四条一項、一五九条一項、情状により同条二項

被告人 法人税法一五九条一項(懲役刑選択)

二  併合罪の処理

被告会社 刑法四五条前段、四八条二項

被告人 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第三の罪の刑に法定加重)

三  刑の執行猶予

被告人 刑法二五条一項

(検察官城正憲、弁護人高木康次 出席)

(裁判官 半田靖史)

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